【求人】メディアエージェンシーでのキャリアの紹介、あるいは僕がなぜ今もこの会社で働き続けているのかについて。

読者の皆様、お久しぶりです。ブログの書き方を忘れてしまったような気がする今日この頃です。

 

コロナ禍において多くの企業が直面しているように、僕の勤務先もまた、ここ数年人材の出入りが激化しております。企業としては成長曲線を描いているがゆえに、働いてくれる方を数多く募集しています。

 

今日はそんな企業のとあるチームのマネージャーとして、「僕はなぜこの会社で今も働き続けているのか?」ということを語ろうと思います。

 

どうしてそういうことを語ろうと思ったかと言うと、去っていった多くの仲間から、「なぜ今も働き続けているのか?」という意味合いの言葉を、表現を変えながら何度も投げかけられてきたからです。僕はその言葉に、少なからずネガティブなニュアンスを嗅いできました。つまり、それはむしろ質問というよりは反語であり、「もう辞めた方がいいんじゃないか?」と僕を促しているように感じたのです。

 

そして、僕はそのネガティブなニュアンスを百パーセント否定することもまたできないと思っています。つまり、いくつかの点で、去っていった仲間たちが感じているネガティブな認識は正しいものであると僕も認めているのです。

 

それでもなお、僕がこの企業で働き続けているのはなぜなのか。ネガティブな点とは、ポジティブな点とは何か。僕はこれから、この企業のなかでどのように働いていきたいのか。そういうことを語ってみようと思います。

 

もしこの記事を読んで、この企業で働くことに興味を持ってくれた方がいらっしゃったら、qnulp@yahoo.co.jpまでご連絡ください。まずはあなたの話も聞かせていただけると幸いです。

 

 

 

まずは自己紹介から。筆者はメディアエージェンシーという名称でカテゴライズされる企業で働いています。広告代理店のメディア部門と言い換えてもいいでしょう。

 

メディアエージェンシーと言っても、日本だとなかなかピンと来ないので、より詳細に説明してみます。

 

マーケティングの4PにおけるPromotionには、さまざまなソリューションがあります。広告業界にいる人間であれば、広告が最も身近に触れることになるソリューションかと思いますが、他にもPR、SP、セールス、オウンド・ソーシャルメディアなど、数多くのソリューションが存在します。

 

メディアエージェンシーとは、それらのソリューションをクライアントに提案するうえで、「メディア」が起点になるソリューションを考える存在です。

 

例えば、広告はメディア(パブリッシャー)が提供できる伝統的なソリューションの一つです。メディアエージェンシーは、そうした広告の出稿におけるメディアのプランニング(どのメディアに、どのくらいの予算を、どの期間に出稿するかという検討)や、実際のメディアバイイングを行っています。

 

ですが、メディアエージェンシーが提供できるソリューションは広告に留まりません。オウンドメディアのコンテンツを制作したり、SPの一種であるイベントを企画したり、広告クリエイティブそのものをつくったり、パートナー企業からデータを提供してもらってクライアントのCRMデータと繋げて新たなターゲットを発掘したり、と、広告領域に留まらないソリューションを提案することが可能です。

 

これらの例はすべて、パブリッシャーありきのソリューションです。テレビ局や雑誌社にオウンドメディアの記事や広告素材そのものを制作してもらう、新聞社や屋外媒体社と一緒にイベントの企画を立案・提言する、デジタル媒体からデータを提供してもらって新たな顧客開拓に繋げるなど、パブリッシャーがいなければ、上に挙げたようなメディアエージェンシーの業務は成立しません。もちろん、広告枠のプランニング・バイイングの業務についても言うに及ばずです。

 

したがって、僕がもしメディアエージェンシーとは何か、と聞かれたとしたら、「パブリッシャー(メディア)の持つアセットやソリューションを最適な形で組み合わせたりレバレッジさせたりすることで、クライアントのマーケティング課題の解決に貢献する存在」、と答えるでしょう。

 

 

 

そもそもなぜ広告代理店が存在するのか。今年の東京オリンピック電通が中抜きと叩かれていましたが、ただ中間に存在してマージンを抜くだけなら、批判されるとおり、害悪でしかない存在です。

 

昔と今とでは、広告代理店の存在意義は変わってきていると思います。昔は、広告代理店を通してしかやれないマーケティングソリューションがたくさんありました。代表的なのが、テレビや新聞の広告枠のバイイングであり、オリンピックのような国際的なイベントプロモーションです。

 

中抜きと批判されることも多いですが、マージンというお金の意味合いは、そのような特別な枠を「売れ残るリスク込みで」仕入れた広告代理店が、リスクを背負わずにその枠を活用したいクライアント企業に売っていくときに必要となる手数料であった、と言えるでしょう。現にテレビや新聞といったマスメディアは、大手広告代理店がリスクを背負って広告枠を買い切り媒体社に収益をもたらしたことによって、戦後の日本において媒体価値を伸ばしたという側面があります。

 

しかし、今やテレビ広告はインターネット上で買えるものになりました(参照:第三のテレビCM『SAS(スマート アド セールス)』とは)し、デジタル広告は一個人が自由に購入できる強力なマーケティングツールになりました。

 

そうした時代にもなお広告代理店が求められる理由は、「複雑化したマーケティングの世界のなかで、最適なソリューションをクライアントに届けられるから」だと僕は考えています。

 

メディアエージェンシーという、広告代理店の一業態においてもそれは同様です。パブリッシャー自体がデジタルワールドの恩恵を受けて指数関数的に増加しており、また個々のパブリッシャーが提供できるソリューションの幅もどんどん広がっています。そうしたパブリッシャーのパワーをマーケティングにどう活かしていくか。一事業会社であるクライアント側で、そのすべてを理解し、パブリッシャーと個別にコミュニケーションを取ってソリューションを開発していく時間や人的リソースは、なかなか確保できないでしょう。

 

そんな複雑化した世界にあって、パブリッシャー個々の強みを正しく把握して、クライアントのビジネスを推進できるソリューションを提供する、これがメディアエージェンシーの付加価値であり、存在意義だと思います。

 

 

 

こうした前段を踏まえて、「なぜ僕がこの会社で働き続けているのか」という問いに対する、具体的な回答をしていきましょう。

 

回答は4つです。どうしても抽象的に書かざるをえないところがありますので、具体的なケースについてもっと知りたい場合は、個別のやり取りにてお話しさせてください。

 

 

 

【理由①:データビジネスをゼロからつくっていく面白さがある】

 

突然ですが、メディアと切っても切れないものは何でしょうか。

 

答えはデータです。

 

メディアというものが、ターゲットにコンテンツを届けるための箱だとしたら、ターゲットは必ずそのメディアに何らかの足跡を残します。それは、ウェブサイトのアクセス数であったり、ソーシャルメディアのポストであったり、位置情報のデータであったり、視聴率であったりします。

 

つまり、メディアがあるところ、必ずデータが存在します。

 

メディアエージェンシーは、原則的には自分たちのメディアを持っていませんが、一方であらゆるメディアにアプローチできるフラットな存在です。

 

クライアント企業のビジネスにとって、どんなパブリッシャーのデータが必要とされているのかを考え、ブランドコラボならぬデータコラボのアイデアを考えてゆく。メディアの広告枠だけでなく、メディアから出てくるデータそのものをクライアントに提供し、CRMやオウンドのデータと接続して、さらに価値のあるデータをつくりだす。そうしてつくりだしたデータの付加価値に対して、メディアエージェンシーがフィーをもらう。

 

あるいは、媒体社が必要としているデータとデータ提供企業を結び付けて、メディアが提供できる新しいソリューションを開発してゆく。屋外広告とジオデータを結び付けて広告接触者を推測し、デジタルでリターゲティングをかけてゆく、などといった新メニューを開発できれば、メディアエージェンシーが媒体社にとって大きな付加価値をもたらせるかもしれません。

 

もちろん個人情報保護の時代ですから、どうやってデータを繋げるのかについては、慎重に進める必要がある。そこでまた、この時代が要請するデータやプライバシーの知見を深めることができる。

 

メディア側にいれば、自社のデータをビジネスにするのは当たり前の発想ですが、メディアエージェンシーにいるからこそ、あらゆるメディア、あらゆるクライアントを横並びにして、そこにデータをどう流通させると価値があるのか、と考えることができるのです。

 

 

 

【理由②:マーケティングソリューションの幅広い領域を設計・提案できる】

 

先ほど書いたように、パブリッシャーの持つアセットやソリューションを最適な形で組み合わせたりレバレッジさせたりすることで、クライアントのマーケティング課題の解決に貢献するのが、メディアエージェンシーという存在です。

 

それは、広告という狭い領域に留まりません。私が入社後に自ら提案した、またはチームとして提案したマーケティング領域の提案を見てみると、

  • CRMデータの分析を基にした来期の注力プロダクトの提言(経営戦略の提言および4PのProduct)
  • デジタルプラットフォーマーの広告配信データおよび3rd Partyデータの分析を基にしたキャンペーンインセンティブの提言(4PのPromotion領域、キャンペーン構築)
  • テレビのローカル局を活用した流通施策の提案(4PのPlace)
  • 新聞社を活用したイベント・ソーシャルメディアの連動企画の提案(Promotionのうち、イベントおよびソーシャル施策)
  • 戦略PRの提案(PromotionのうちPR)
  • 雑誌社によるオウンドメディアの記事や広告素材の制作(Promotionのうち、オウンド・コンテンツマーケティングおよび広告)
  • テレビ局のミニ番組制作およびミニ番組出演をきっかけにしたブランドアンバサダーのアサインメント(Promotionのうち、コンテンツマーケティングおよびインフルエンサー施策)
  • シネアドの媒体社と連携したジオターゲを活用した新しい広告メニューの開発(Promotionのうち広告)
  • デジタル、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、屋外の六媒体すべてのタッチポイントにおける広告枠の提案(Promotionのうち広告)
  • デジタルパブリッシャーと組んでのクライアントへの2nd Partyデータ提供(1st Party DMPに接続することですべてのマーケティングソリューションと連携可能)
  • オウンドやソーシャルのデータ、CRMデータ、広告配信データ、位置情報データ、その他あらゆるデータを活用した、あらゆるマーケティングソリューション(広告、PR、イベント、オウンド・ソーシャルメディアマーケティング……)の効果検証(すべてのマーケティングソリューション)

……と、多岐に渡ります。末尾の()内にはマーケティングにおけるそれぞれの施策の立ち位置を入れてみました。

 

弊社は社員数が現在150名前後と、大規模な会社ではありません。それが弊社のアドバンテージでもあります。

 

電通博報堂でも上記の施策に携わることは可能でしょうし、何なら弊社よりもずっと大規模な形で関わることができると思います。ただし、一人の人間が、これだけ多岐に渡る提案に携わることは難しいと思います。電博のような巨大企業は、人的アセットが豊富にあるというアドバンテージをなるべく活用するために、社内においては縦割りの専門家を多数作ってゆくことになりやすいためです。

 

また、弊社では「越境すること」を重要な価値と掲げているため、例えばPRやインフルエンサーといった、パブリッシャーを介さない施策であっても、それぞれの専門であるパートナー企業と相談しながら提案していくことが可能です。そのあたりの自由度の高さも弊社の魅力です。

 

 

 

【理由③:チームビルディングを実地で経験していける】

 

3つ目は、ごく個人的な理由です。

 

これまで約8年、新卒から広告業界でキャリアを積んできたなかで、僕はプレーヤーとしてよりもマネジメントとしてのキャリアにより強い興味を感じるようになりました。

 

自分が快いと感じる理想国家をつくりたい。

 

ちょっと大それた言い方ですが、僕がチームビルディングを通して実現したいことは、この表現に集約されます。

 

その国では、誰もが自分自身の強みと性質を理解し、Giveの精神を持って他者へのシェアやフィードバックを行っており、組織構成員は相互にリスペクトしあっている。現場発の具体的かつ本質的なゴールを掲げ、そこに向かって邁進している。他の国に侵略することはなく、むしろ他の国にとって必要なことを提供し、その代わりにこちらの国の価値観や思想が他国にとっても有益であると思って取り入れてもらうことで、物理的な領土ではなく、自分たちの国のミームを流通させてゆく。

 

僕はストレングスファインダーをやると「最上志向」「コミュニケーション」「個別化」「社交性」「内省」+「包含」が上位に来ますが、それがよく表れた国家だなと我ながら思います。

 

 

このような国家は、もちろん僕自身が最もその恩恵を受けるのですが、同時にそこに住む人にとっても、非常に益がある場所であると僕は確信しています。

 

この国家を目指して、これまで2年半の間、さまざまなことに取り組んできました。そのことについては、既に昨年書いた記事にまとめています。

 

2blost.hatenablog.jp

 

僕は六年目から総勢10名前後の現チームをリードする立場として仕事に取り組んでいますが、チームについて好き勝手できることは、今の場所で働いている一つの魅力であることは間違いありません。

 

補足しておくと、チームビルディングについて、弊社内に特段ノウハウが整理されていたり、弊社が業界内の他社と比較して特に注力したりしているというわけではありません。現状、仮に僕が上述したようなチームビルディング施策を実施したことによって良い結果を出したとしても、そこに良いフィードバック(メンバーへのインセンティブや、オフィシャルな形での社内への横展開)がもたらされることもない、というのが現状の課題です……そこは変えなければなりません。

 

今後の自分の課題としては、社内だけでなく、社外も含めたネットワーキングを通じて、いかに人的リソースを確保し、国家を潤せるか?という点だと思っています。広告代理業は人がほぼすべてのビジネスです。土地や資材は必要ありません。これまでもそうしたネットワーキングは自主的にやってきましたが、いっそうこれからはそうした役割を担っていこうと思っています。

 

 

 

【理由④:会社としての新しい時代におけるミッションやゴールを策定し、それを体現していくことに携われる】

 

多くのメディアエージェンシーが「なぜ自分たちが世の中に存在しているのか」というミッションを持ち合わせていません。仮に持ち合わせていると主張していても、それを体現できていないケースが多いです。

 

残念ながら弊社も同様です。会社としてのミッションや目指すべきゴールが具体的かつ本質的に定められているかというと、僕はそうは感じません。

 

その理由は、メディアエージェンシーの成り立ちにあります。

 

以前 局担の記事 でも書いたように、広告代理店におけるメディア部門は元々代理店全体におけるプロフィットセンターを担っていました。

 

広告代理店のビジネスにおいて、ブランド戦略やクリエイティブはあくまで「おまけ」であって、それが実際にテレビなどの広告媒体に出稿されることで利益が生まれます。

 

したがって、メディア部門は「とにかく多額の出稿を、取りこぼしやミスなくメディアに流しきること」をゴールとして、営々とビジネスに取り組んできました。

 

こうした成り立ちであるがゆえに、メディアエージェンシーのゴールは、とにかく売り上げと利益をどのくらい確保できたのか、という点に設定されがちです。

 

ですが、今や人間が働くときに「なぜこの会社は世の中に存在しているのか?」という問いに答えられない企業は、選ばれにくくなってきています。ドラッカーがとうの昔に看破した「利益そのものは企業のゴールでは無い」という金言は、実際的な影響力をもって現代に蘇っているのです。

 

なぜなら、終身雇用をもはや考えなくなった人々は、「(そこで長い時間を過ごすことを前提にしての)人間関係や雇用条件が良いから」といったコミュニティ的な価値ではなく、「自分の成すべきことを成せる環境だから」といった自身の価値観をベースに、企業を選んでゆくと思われるためです。コロナによってリモートワークが普及したことで、その傾向はいっそう強まりました。

 

「この環境なら自分のやりたい方向に進める」と思ってもらえる企業にならなければ、特に現代の若者からは、魅力的な就業先として選んでもらえないのです。

 

言い換えれば、今メディアエージェンシーは過渡期にあり、昔のままではもはや通用しなくなりつつあるということです。対クライアント、対従業員、他にも様々な切り口から、現行のやり方では価値を提供できなくなりつつあります。だからこそ、その会社をチームという単位から変えていけるのは、とても面白いことだと僕は思っています。

 

何度も繰り返しますが、僕はメディアエージェンシーの価値は「パブリッシャーの持つアセットやソリューションを最適な形で組み合わせたりレバレッジさせたりすることで、クライアントのマーケティング課題の解決に貢献すること」だと思っています。

 

その具体的なかたちを自分のチームによって次々に体現していくことで、この価値が会社全体に浸透し、会社が新しいメディアエージェンシーとして生まれ変わってゆく様子を最前席で見ていたい。

 

去って行った仲間たちは、それにどのくらい時間が掛かるのか?と笑うかもしれませんが、そのスピードを少しでも加速するために、こういった自身のマイクロメディアを使って、共感してもらえるメンバーを募集しようと思いました。

 

 

 

もしここまでに書いた内容に少しでもピンと来る方がいらっしゃれば、qnulp@yahoo.co.jpまでメールくださいませ。

 

僕には人事権が無いので、僕のチームで一緒にやれるかはわかりませんが、そのための努力は惜しまずさせていただきます。

 

お読みいただきありがとうございました。