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自己実現3.0【豊かさを求めるのでも夢から逆算するのでもない人生】

今、自分はどう生きればよいのだろうか。

 

これは、僕が大学の6年間ずっと考え続けてきた問いであり、また、僕と飲んでくれた多くの学生が語っていた悩みでもある。

 

仕事が忙しくないそこそこの企業に入って(あるいは公務員になって)、30前くらいで結婚して、子どもをつくって、幸せな家庭を築く。あるいは、結婚せずに(子どもをつくらずに、でもよい)自分の趣味や好きなことに熱中できる時間をつくる。そんな「小さな幸せ」では、満足できない。

 

かといって、数十年前の、どんどん経済が発展していく日本で暮らしていた人たちや、僕が目撃した現在のインドの人たちの大部分のように、「おカネやモノがあれば幸せになれる」と信じることは、もはやできない。

 

しかしまた、自己啓発書やアツい学生団体のセミナーで語られるような「夢やゴールを設定して、そこから逆算して1日1日を生きることで幸せになる」やり方は、到底自分にあっているとは思えない。

 

僕は、極めて狭いその隙間でもがき続けてきた。

 

4年間という大学生活をさらに2年延長して、今1つの回答が得られた。

 

それを、僕は自己実現3.0という名前で呼ぶことにした。

 

それは、「何者かになりたいという欲求を抑えつけて生きるのでもなく」「カネやモノといった、旧来の『世の中的な幸せ』に甘んじるのでもなく」「夢ややりたいことを無理やり設定し、ゴールから逆算して生きるのでもない」、幸せになるための、1つの生き方である。

 

僕と同じように苦しんでいる人に届くと信じて、僕はこの記事をインターネットの海に託そうと思う。

 

 

 

 

 

もくじ

 

1、自己実現の欲求には、個人差がある。

 

2、自己実現1.0とは、世の中的な幸せを追求すること。

 

3、自己実現2.0とは、自分の夢を叶えるために逆算して日々を生きること。

 

4、自己実現3.0とは、人間の本質を踏まえて生きること。

 

5、仮説が正しいかどうかは、僕の人生が決める。

 

 

 

 

 

1、自己実現の欲求には、個人差がある。

 

 

 

まず、「自分の納得のいく人生を歩みたい」という思いの強さ、つまり自己実現の欲求の程度には、食欲や性欲と同じように個人差がある。

 

僕のまわりでは、「人生は一度きり!後悔しない生き方を!」と叫んで起業やら世界一周やらに挑戦している人もいれば、そこそこ倒産の心配のない企業に入って20歳後半から30歳くらいで結婚して子どもをつくってのほほんと生きればそれでいい、という人もいる。

 

「他の人とは違う、自分の納得できる人生を送りたい」と思う気持ちには、個人差がある。強い人を弱い人が「意識高い()ヤツだな」とdisるのも違うし、弱い人を強い人が「そのうち後悔するよ」と蔑むのも違う。

 

ただ、他人と比べた時の自分の自己実現欲求の強さがどの程度なのかは、知っておくとずいぶん楽になる。

 

なぜなら、自己実現の欲求の強さに個人差があると知っていれば、進路をなかなか選べない時に周りと自分を比べて落ち込むことがなくなるからだ。

 

 

 

何度もこのブログで書いているが、僕は大学時代、自分がどんな進路を選びたいのかということについて散々迷ってきた。それは、2年休学をしたあげく、理学部から広告代理店に行くという決断をしたことからもわかるだろう。

 

そうして迷っている間に、友達は次々と院進学や就職を決めていた。こんなに悩んでいるのは自分だけなのかと、めちゃくちゃ不安だった。

 

しかし、いろんな人とさし飲みをして話した結果、僕は他人と比べた時に自己実現の欲求がとても強いことがわかった。人生後悔したくない、納得のいく進路を選びたい、そういった気持ちが人一倍強いのだ。

 

言い換えれば、他の人はそこまで自分のやりたいことや納得感にこだわらずとも進路を選択できるのだ。

 

少なくとも、他の人がみんな僕の求めるレベルの納得感をもって進路を決めているわけでは決してないということを知って、僕はとてもホッとした覚えがある。

 

 

 

 

 

2、自己実現1.0とは、世の中的な幸せを追求すること。

 

 

 

ここからは、1でみた僕のような「自己実現欲求の強い人」が、どのような形で幸せな人生を実現していこうとするのかを考えてみたい。

 

まず来るのが、この自己実現1.0の段階である。

 

自己実現1.0とは、自分に固有の幸せの形があるとは考えず、世の中的な幸せを追求すれば自ずと自分も幸せになれる、と思う段階である。

 

「世の中的な幸せ」として代表的なのは、「金銭的に豊かになること」や「結婚すること」だろうか。

 

特に日本の高度経済成長期など、「みんなが同じようなライフスタイルを選択し、同じ未来に向かっている」時代や国においては、自己実現1.0はそれなりに有効に働くはずだ。

 

これについては、以下の記事でも書いている。

 

インドの若者は、「自己実現」の夢をみるか

 

広告業界にはなぜ合コン好きな人が多いのか。

 

 

 

自己実現1.0のデメリットとしては、必ずしも世の中的幸せが自分の幸せとは限らない、という点が挙げられる。

 

特に、みんなが同じものを見て同じように生きていた時代ではなくなった今の日本では、自己実現1.0を信じることは難しいのではないだろうか。

 

さし飲みをしていても、「お金を稼いで幸せになること」を自分の人生の目的だと捉えている人は、非常に少なかった。

 

そういう点を踏まえると、自己実現1.0は、今の日本にはやや合わなくなってきているように思える。

 

 

 

 

 

3、自己実現2.0とは、自分の夢を叶えるために逆算して日々を生きること。

 

 

 

自己実現1.0は、「世の中的な幸せが自分の幸せ」だと信じて生きていくやり方だった。

 

自己実現2.0は、それより少し深くなる。どういう点が深いのかというと、幸せを、一般的なものではなく個別的なものだと考えている点だ。

 

「自分が一生をかけて叶えたい夢は何かを考え、そこからやらねばならないことを逆算して毎日を生きる」これが、自己実現2.0の考え方である。

 

幸せとは何かについて考えるのを自分の課題として捉えているのは素晴らしい。

 

ただ問題は、その実現方法にある。

 

ゴールから逆算して考える、というやり方は、今の自分の思考というのが基本的には変わらない、という前提のもとに成立している。

 

自己啓発の本やセミナーなどでは、この「ゴールから逆算する」ということが何度も語られる。

 

しかし、次の章で述べるが、人間の本質は「変わること」「計算ではなく直感」なのだ。

 

僕の場合、いくら夢を描いてみたところで、次の日には新しいことを知って新たなやりたいことが頭の中に浮かんでいるわけで、ずっと変わらないゴールなど設定できるものではなかった。

 

それどころか、ゴールに達するために毎日やらねばならないことをこなしている自分の姿が、とても窮屈に感じた。

 

 

 

もちろん、自己実現2.0のやり方でうまくいく人もいると思う。そういった人は、ここでこの記事を読むのを終わりにすることをすすめる。

 

ただ、ゴールから逆算するという考えにいまいちピンとこない人に、僕は次の自己実現3.0のやり方をすすめる。

 

 

 

 

 

4、自己実現3.0とは、人間の本質を踏まえて生きること。

 

 

 

自己実現3.0は、次の2点を特徴とする。

 

・幸せとは何かということを、自分の身に置き換えて考えること。

 

・幸せになるために、人間の本質を踏まえて生きること。

 

このうち、前者については自己実現2.0と同じである。

 

大事なのは後者の「人間の本質」である。

 

 

 

人間の本質とは、以下のようなものだ。(後ろのかっこにはそれぞれ該当する記事を挙げた)

 

・やりたいことは、常に変わる。(違うタイプの人に、価値観まで破壊される必要はない

 

・やってみる前に、そこから何が得られるかなどわからない。(留学や海外インターンに半年以上行くべき理由

 

・直感や感情は、常に論理に先行する。

 

これらを踏まえた生き方は、以下のようになる。

 

「ゴール(未来)から逆算するのではなく、今、なんとなくいいなと思える選択をし続けて、 その経験から得たものを結びつけて、自分の人生をつくっていく」

 

 

 

例えば、こういうことだ。

 

僕がもし、大学の尊敬する先輩と2人で飲んだことをきっかけに「さし飲みってなんかおもしろそう!」と思わなければ、人の価値観の聴き出し方などわからなかっただろうし、バーをやりたいなどと思うこともなかっただろう。

 

僕がもし、なんとなくタフな人間になりたいと思ってインドでのインターンに参加しなければ、日本の若者とインドの若者との価値観の違いにも気付かなかっただろうし、英語が話せるようにはならなかっただろう。

 

僕がもし、文章を書くのが好きだからというそれだけの理由でブログを書き始めることがなければ、「伝える」ことが仕事である広告代理店に行きたいと思うこともなかっただろうし、今僕を支えてくれているたくさんの人たちと会うきっかけすら存在しなかっただろう。

 

なんとなく、という気持ちを大切に、とにかく手を出し続ける。自分は何が好きで何が嫌いか、何が得意で何が苦手か、やってみて考える。

 

そうやって考えた自分像をもとに、次はこんなことをやったらもっと自分を活かせそうだ!と予想してみる。 

 

学生の間でも、就職してからでも、ずっとそれの繰り返しだと思う。

 

 

 

キャリア論の金井壽宏教授による「働くひとのためのキャリア・デザイン」という本には、次のような言葉がある。

 

いいものに出会い、偶然を生かす(掘り出し物=serendipityを楽しむ)には、むしろすべてをデザインしきらないほうがいい。ドリフトしてもいいというより、節目以外はドリフトすべきだといってもいい。ひとは、自分で選ぶと、ある範囲内から、行動プランを選んでしまう。たとえば、金庫番のような経理の仕事はいやだと言っていたひとが、青天の霹靂で経理部門に他律的に異動させられた(キャリア・ドリフトした)結果、数字を扱うという自分の思わぬ才能とそれを発揮する満足を見つけることがある。

 

(働くひとのためのキャリア・デザイン/金井壽宏著)

 

 

 

働くひとのためのキャリア・デザイン (PHP新書)

働くひとのためのキャリア・デザイン (PHP新書)

 

 

 

 

僕もここで述べられていることに賛成だ。進学や就職、転職といった人生の大きな節目における選択を「なんとなく」するのはいただけないが、その途中の段階では、なんとなくドリフトしながらそこで得られたものを吸収していくという姿勢が一番いいのではないだろうか。

 

「就活エリートの迷走」という本では、学生が、思い描いていた社会人生活とのギャップに苦しんで辞めていく姿が描かれていた。そのギャップが生じる原因は、「過度なゴール志向」だ。面接で何度も聞かれる「やりたいことはなんですか?」という問いに答えるために、学生は自分の人生のゴールをつくりあげてしまう。しかし、企業に入って自分のやりたい仕事ができる人はほんのひとにぎりなのだ。

 

ゴールからすべてを計算するのではなく、「なんとなく」経験したことからわかったことを、それぞれの節目における選択に生かし、またそこからは「なんとなく」人生の歩を進めてゆく…。

 

僕が今考えている自己実現3.0は、そんな生き方である。

 

 

 

就活エリートの迷走 (ちくま新書)

就活エリートの迷走 (ちくま新書)

 

 

 

 

(上記2冊の本は、就活生のみならず、人生をどう生きるべきかということに悩んでいる方にぜひ読んでいただきたいです。) 

 

 

 

 

 

5、仮説が正しいかどうかは、僕の人生が決める。

 

 

 

僕はまだまだ若造だ。そしてこの自己実現3.0というのは、単なる仮説にすぎない。

 

仮説は検証される運命にある。

 

僕がこの生き方を選択して、はたして幸せになれるのか。

 

人生をめいっぱい使った人体実験であるが、「なんとなく」それが正しい直感はある。

 

今後もブログを通して、実験の結果を随時報告していきたい。

 

少しでも、僕と同じ悩みを抱えている人たちが、楽になればいいなと願っている。