面接で「何か質問は?」と聞かれた時に困らない、たった1つの質問。

もくじ

 

1. どこでも誰にでも使える「良い質問」

 

2. 「その人にすべき質問」とは

 

3. 「その場所ですべき質問」とは

 

4. 質問とは、ボクシングのカウンターである

 

 

 

 

 

1. どこでも誰にでも使える「良い質問」

 

 

 

僕が就職活動をしていた時、いつも頭を悩ませていたのは、面接における「質問タイム」だった。 

 

面接における質問の理想の形は、業界研究や企業研究で得た基礎知識をベースに、面接中の面接官とのやり取りの中で引っかかったことを絡めて、面接タイムで質問することである。

 

しかし、いつもいつも完璧な業界研究・企業研究をして面接に臨めるわけではないし、面接中に思いついた質問を緊張のあまりド忘れしてしまうこともあるし、面接によっては、対話形式というより尋問形式で、面接官との対話の中から質問のネタを見つけるということが不可能な場合もある。

 

そんな時に使える、コストパフォーマンスの非常に高い質問を1つご紹介する。

 

「御社の課題と、~さんがご自身のお仕事を通してその課題の解決にどう貢献できるとお考えであるか、教えていただきたいです」

 

この質問は、業界や企業規模、面接官の職種、面接の形式等、外部条件に左右されずに用いることができる。一方で、そのような「どこでも誰にでも使える」質問にしては、例外的に「良い質問」である。

 

どこでも誰にでも使える言葉というのは、往々にしてどうでもいい言葉になりがちである。その最たるものが、「早寝早起き」とか「犬も歩けば棒にあたる」とか、要するに標語や聞き飽きたことわざのたぐいである。

 

面接におけるどうでもいい質問としては、「今のお仕事は楽しい(辛い)ですか」とか、「将来どういったお仕事をされたいですか」とか、そういうものがある。正直、これらの質問には面接官はウンザリしているはずだ。

 

そうではなく、面接官が思わずドキッとしてしまうような質問、「生意気だが、なかなか良い質問をするじゃないか」と思ってもらえるような質問を、しなければならない。

 

この質問は、そんな面接における「良い質問」の1つだ。同じような面接ばかりで退屈している面接官にぶちこむ、切れ味鋭い万能のカウンターパンチといえよう。

 

 

 

面接における「良い質問」とは何だろうか?

 

それは、面接官に「この人と話すと、自分にしか語れない話をうまく引き出してくれるな」と思わせる質問であり、さらに、「この人は、こういう質問をするということは、こういう人なんだな」と推察させる質問である。

 

つまり、面接官に「こいつと話すのは楽しい」と思わせる質問であり、また、自分自身のアピールになるような質問である。

 

言い換えればそれは、「その人にすべき」であり、かつ「その場所ですべき」であるような、そんな質問である。

 

 

 

2. 「その人にすべき質問」とは

 

 

 

「その人にすべき質問」というのは、「その人にしか語れないことを引き出せる質問」ということだ。

 

これについては、「質問力」という本が参考になる。

 

たとえば、あまりにつまらない質問ばかりを発する人間とは会いたくないだろう。「この人に会ってもムダだ」と相手から判断されてしまうと、他にすばらしい実力があってもなかなかそれを発揮させてもらえない。つまり、「コミュニケーション力(質問力)」はその他の自分の力を発揮する舞台を用意するために、まず必要とされる力なのだ。(中略)

 

いい質問のキーワードは「具体的かつ本質的」というものである。(中略)

 

クリエイティブな対話や新しい意味を生み出すためには、やはり右上の「具体的かつ本質的」な質問ゾーンを常に意識することが大切なのだ。

 

(質問力/齋藤孝

 

ここで著者が「右上」と言っているのは、質問について「具体的⇔抽象的」「本質的⇔非本質的」という下のようなマトリクスを取った時に、具体的かつ本質的な質問は右上、第1象限に来る、ということである。

 

f:id:hajimesake:20140204220045j:plain

  

例えば、本質的かつ具体的な質問として、同書では次のような例が挙げられる。

 

・「自信を持って扱える道具をひとつあげて下さい」

 

→それまでの人生で、その人が何にエネルギーをかけてきたのかがわかってしまう、非常に本質的かつ具体的な質問。

 

・「あなたがいいと思うコピーを10個書いてください」(コピーライターの入社試験の問い)

 

→良いコピーが生み出せるかどうかは、世に出ているコピーの良し悪しを見分けるセンスと密接に関連している。10個あげたコピーを見れば、その人の傾向がはっきりわかるし、その人が良いコピーを書けるかどうかもわかる、具体的かつ本質的な非常にすぐれた質問。

 

(なお、この「質問力」という本は、さらっと読めるにもかかわらず、非常に本質をついた本である。もっと他人と良いコミュニケーションが取りたい、という人にぜひおすすめの本である。よかったら読んでみてください。) 

 

質問力 ちくま文庫(さ-28-1)

質問力 ちくま文庫(さ-28-1)

 

 

 

 

一方、僕は面接で「その人にすべきでない質問」を嫌というほど耳にしてきた。

 

「働くとはどういうことだと思われますか?」(本質的だが抽象的な質問)、「お仕事は楽しいですか?」(本質的だが抽象的な質問)、(営業の社員に)「人事制度について教えてください!」(具体的だが非本質的な質問)…。あなたもこれに類する質問を耳にしたことがあるのではないだろうか?

 

こういった質問をしたところで、「その面接官にしかできない答え」は絶対に聞けない。それぞれ「誰かに価値を届けることです」「うん、まあ…」「私は営業だからよくわかりません」とか言われるのがオチだ。

 

しかし、冒頭に書いた「御社の課題と、~さんがご自身のお仕事を通してその課題の解決にどう貢献できるとお考えであるか、教えていただきたいです」という質問には、面接官は真剣に対応せざるをえない。

 

それは、企業の全社的な課題を聞くだけでなく、もう一歩踏み込んで、具体的かつ本質的に、自分の行動を問うてくる質問だからだ。「あなたにしか答えられない質問です」と宣言しているからだ。

 

余談であるが、キャッチコピーや商品名、ブログの記事のタイトルを考える時にも、「きみ」や「あなた」のような呼びかけを入れることで、読み手に当事者意識を持たせることができる。 覚えておくと、どこかで役に立つかもしれない。

 

「この質問の自分の答えは、他の人間の答えとは絶対に違うはずだ」と思えるような質問をされた時、人間は生き生きと話しはじめる。そして、その話を引きだしてくれた相手のことを、(意識的にせよ無意識的にせよ)良いヤツだな、と感じるのである。

 

 

 

3. 「その場所ですべき質問」とは

 

 

 

次に、「その場所ですべき質問」について考えよう。

 

ここでいう「その場所」とは、言うまでもなく面接のことだ。

 

面接でやらなければいけないことは次の2つだ。

 

・相手の企業に自分のことを理解してもらうこと(=自分をアピールすること)。

 

・相手の企業のことを自分が理解すること。 

 

基本的にはみんなこれを理解していると思うけれども、「質問タイム」になると、急に「相手の企業を理解すること」しか頭になくなってしまう人は多い。そして、その質問を通して自分は相手にどんな印象を与えているか、ということを、忘れてしまうのである。

 

例えば、「転勤はありますか?」とか、「残業はありますか?」とか聞いて、イエスの答えが返ってきたらどうするのだろうか?「じゃあ、受けるのやめます」と言うのだろうか?ノーの答えが返ってきてホッとしている自分を見て面接官がどう思うのか、考えたことはあるだろうか?

 

そもそも、そういう質問をする時点で「こいつはしんどかったらすぐ辞めるヤツなのかな」と思われてしまうのだけど、それは知っているだろうか?

 

別に僕は、ワークライフバランスや福利厚生についての質問をするなとは言っていない。むしろ、入社する前にぜひそれらについては知っておくべきだ。しかし、面接でそれを聞くのはお門違いだということだ。

 

もし、そういったことを知りたいのであれば、面接よりもずっとカジュアルなシーンで聞くことを薦める。例えば、その会社に入った友達に聞くとか、同じ業界にいる知人や先輩づたいに聞くとか、最低でもOB訪問レベルの、100%フォーマルではない場面で聞くべきだ(それでもOB訪問の場合は、自分についての評価が上層部に流れていることは覚悟すべき)。

 

あるいは、転職会議Vorkersといった、転職系の口コミサイトを見るのもいい。新卒用の口コミサイトは噂ばかりで当てにならないことが多い。2ちゃんねるも、信ぴょう性は低いが生の話が書いてあることもある。自分のリテラシーで判断してほしい。

 

 

 

つまり、質問はアピールの一種なのだ。

 

優れた質問には、自分の理解力の高さ、好奇心旺盛さ、洞察力の鋭さ、興味のある分野などを、一発で相手にわからせる力がある。

 

基本的には、もともと持っている知識やそれまでの相手の話を総合して質問するものだが、冒頭に述べたように、半ば尋問のような面接も多い。そんな時に、反撃開始の口火を切る質問として、この質問を使ってほしい。

 

僕は全部で数十社の選考を受け、そのほぼすべての面接で上記の質問をしたが、さらさらと答えてくれた社員さんは少なかった。面食らった顔をされている社員さんもけっこういた。「良い質問だねえ」と言ってもらったことも、何度かある。そこから会話が発展するケースも多い。そして、少なくともこんな質問をしてくるようなヤツだ、という印象は、与えられたはずだ。

 

僕はもともと、人の価値観にとても興味がある。「あなた自身の仕事はどう課題解決に貢献できるのか」という質問をするということは、あなた自身がどんな風に仕事を捉えているのかということに僕は興味がありますよ、というメッセージなのだ。

 

質問を通して自分を理解してもらうというのは、例えばこういうことである。

 

 

 

また、「相手に自分のことを理解してもらう」だけでなく、「相手のことを自分が理解する」ためにも、この質問は有効だ。

 

この質問では、ざっと考えて、以下のようなことを知ることができる。

 

・その企業の課題

 

・その面接官の担当している業務の内容

 

・その面接官の価値観、ものの考え方

 

・その企業の社員のレベル

 

これらは、その後の選考で確実に役立つだろう。

 

さらに、単純に「御社の課題はなんですか?」と聞くだけでなくその解決策もあることを自然にアピールしてもらうことで、「悪いところだけ聞かれちゃったなぁ…」と企業側に思わせずに済む。

 

僕らだって、面接で「自分の欠点を述べてください」としか聞かれなければ、アピールのしようがないはずだ。他に自分の長所やアピールしたい点も聞いてくれるからこそ、欠点を述べる気持ちになるものだ。(だからこそ、就活指南の本では「欠点は長所の裏返しにしよう。そうすることで、それとなく長所をアピールできる」ということが言われるわけだけれど。)

 

 

 

 

4. 質問とは、ボクシングのカウンターである

 

 

 

質問はアピールである、と上に書いた。

 

それも、ボクシングのカウンターのようなアピールである。

 

ましてや、面接ではわざわざ相手が「何か質問はありますか?」と自分の頬を差しだしてくれているのだ。ぶちかまさなければ、損である。

 

相手ボクサーの研究を怠ってしまっても、それがタイトルマッチの場でどうしようもなくテンパってしまっても、相手の猛ラッシュでコーナーに追い詰められてしまっても、きみには奥の手として、このカウンターがある。

 

「御社の課題と、~さんがご自身のお仕事を通してその課題の解決にどう貢献できるとお考えであるか、教えていただきたいです」

 

多少生意気でも、面接官の印象に残るような質問を、一発くらわせてやればいい。他の学生の聞かないようなことを、それも奇をてらったものではなく、具体的かつ本質的なストレートパンチを、放りこんでやろう。

 

一つだけ、カウンターは同じ面接官相手には2度は通用しない、ということだけ、覚えておいてください。

 

就職活動もそろそろ本格的になってくる頃だと思うけど、読んでくれたあなたに一つ、面接におけるカウンターという武器を授けることができたなら、嬉しく思う。